2020年05月05日

価値の普遍性-26

野崎敏郎、二二四頁註解。
BewertungとWertungの訳語にかんして。野崎は前者を価値査定と訳し、事物の評価を定める判定行為一般とする一方で、後者を価値選択と訳し、実践的な性格をもつ決断と解する。Bewertungは、Beurteilungからの連想からして、価値判断・価値判定(何々ついてbeの価値判定という含み)と訳したい。またWertungは、理論的な価値関係Wertbeziehungと区別する意味で、評価と訳したい。評価の相対性が、第30段落MWG,S.98f.に述べられているが、社会的な党派のなかにおいて、評価が共有されることはよく見られる現象である。価値判断の普遍性のみならず、究極的には、評価においても普遍性に至る場合はありうる。評価というものが情動的であるとするなら、人間の生活史的な基盤に評価がなりうる、という論点が見過ごされている気がする。
野崎は、230頁で、価値選択=Wertungを評価・価値評価と訳すことを誤訳と断じているが、まことにドイツ思想家研究家とは思えぬ無思慮な物言いで、ここまでになると、ほほえましくもある。Wertungという訳語に、実践的含意が含まれているのは、リッカートの歴史哲学訳からの常識であり、野崎の無教養がさらけ出されている。これを完全版と銘打つのは、いささか首をかしげる。
posted by 9ki1to at 17:32| Comment(0) | 価値 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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